毎週金曜日更新のエロマンガ時評企画。今回はアガタ『ぼくのおとな職業体験』を扱う。

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女体への驚き

『ママ×パコ』『おねショタ病棟24時』『超おね×パコ3』、と過去作タイトルを並べるとわかりやすいが、アガタは現在活躍する代表的なおねショタ系作家の一人である。今回も、大変かわいい富士宏幸少年が主人公。進路に悩む彼は、既に社会人になっている姉の友人たちの職場を一つずつ見学させてもらうことになる。その過程でいろいろあって、全員と肉体関係を持つことに……というお話だ(「進路に悩むような年齢の男はもうショタじゃない!」という原理主義者の人もいるだろうけど、まあかわいい少年=ショタくらいのゆるい定義で今回は話します)。

本作のおねショタとしての魅力は、ショタならではの、女体に対する瑞々しい反応をよく描けている点だ。当然それは、最初のセックスを描く第一話に顕著。この話数で宏幸は、美容整体師である喜多美雪の元でマッサージ体験をする。マッサージというのはもちろん、肉体と肉体の直接的な接触であって、この職業を第一話にもってくることからして、女体への驚きに焦点を当てたいという作者の意図が見て取れる。実際、美雪が自分の身体でツボを教えると、宏幸は顔を赤らめてしまう。おっぱいやお尻ではなく腕でこの反応、というのがいい。

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その後宏幸は美雪のマッサージを実体験し、流れでセックスが始まる。このとき、目隠しをしているのがポイント。ショタはそもそも、女性経験がなくただでさえ女体のことがわからない、だからこそ女性に触れた時の反応がビビッドになる。これに目隠しが加わり、目の前の女体がさらに捉えがたいものになる。そういう意味で、おねショタと目隠しは核を共有しており、互いにエロさを高め合うマリアージュになっている。

シチュだけではなく演出面でも目隠しは活かされている。挿入シーンの直前では、主人公の顔を写した小さいコマが三つ続く。一つ目のコマでは衣服が擦れる擬音が、二つ目のコマでは何か暖かいものに触れるちんこが、そして三つ目のコマでは「まさか」と驚く主人公の心の声が描かれる。目隠しのせいで主観に閉じ込められた宏幸を、まずタメとして使っているのだ。そしてページをめくると、大コマでちんこをあてがう美雪が客観的に映される。ここではじめて主人公は状況認識できたのであり、そのタイムラグが性器に触れた驚きを強調する。さらに挿入するときには、珍しい「ちんこ主観」とでもいうべき二コマで、膣を子宮へ分け入っていく様子が表現される。目隠しだからこそ・初体験だからこそ、ちんこに与えられる感覚に鋭敏に反応しているのだ。このように、シチュエーション・演出の両面から、ショタの女体への新鮮な感動を見事に閉じ込めているのがこの第一話なのである。

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女体の描き方

驚かれる女体の方も、驚かれるに足るものとして大変エッチに描かれている。本作の女体の描き方は、ゼロの者作品などを代表とし、ゼロ年代~10年代に隆盛を極めた、トーンを多用して立体感を強調するスタイル。今となってはややクラシカルな印象もあるが、しかし依然としてむちむち系との相性は抜群だ。普通の影はグラデーショントーン、おっぱいのように特に立体感を強調したいときはトーンの重ねと、使い分けも細かい。トーン削りフェチとしては、削りが多用され、画面の情報量が高まっているのもたまらない。

ちなみにキャラデザは、母性を強調する爆乳系ヒロインが多い中、サバサバしたカメラマンの乾望だけスレンダー巨乳系なのが絶妙なアクセントになっている。望が初めて服を脱いだ時も、主人公を見下ろす、ひねりのついたポーズになっていて、非常にエロカッコいい。

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というわけで、ショタ目線からいろんな女体への感動を追体験できる、あるいはいろんな女体に感動するショタを愛でて楽しめる、そんな一作である。